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共同抵当権の実行

 債権者が、同一の債権の担保として、複数の不動産に抵当権を設定している場合を、共同抵当権といいます。
 例えば、住宅ローンの場合は、土地と建物、2つの不動産に共同抵当権を設定していることになります。



 債権の返済ができなくなった場合、抵当権を実行して不動産を競売されることになるのですが、共同抵当権の場合の実行方法は2つあります。


同時配当
 共同抵当権の目的となっている不動産の全部について、競売を申立てることをいいます。配当は、各不動産の価額に応じて債権の負担を案分して、弁済を受けます。

異時配当
 共同抵当権の目的となっている不動産の一部についてのみ、競売を申立てることをいいます。配当は、一部の不動産のみの価額から、債権の全額の弁済を受けることができます。
 異時配当による競売を申立てられた不動産に後順位の抵当権がある場合において、下記の要件を満たす場合は、その後順位の抵当権者は、仮に先順位の共同抵当権が同時配当されていたなら後順位の抵当権者が弁済を受けることができた金額を限度として、その先順位の共同抵当権者に代位して抵当権を行使することができます。



《異時配当による競売における後順位抵当権者による代位の要件》

・先順位の共同抵当権者が、異時配当により債権全額の弁済を受けたこと
・後順位の抵当権の設定登記時に、先順位の共同抵当権の目的となっている不動産が双方債務者所有または双方同一物上保証人所有であったこと



<ケース1>
 後順位の抵当権の設定登記時に、先順位の共同抵当権の目的となっている不動産が債務者所有と物上保証人所有であった場合の異時配当における代位

▷債務者所有の目的不動産のみを競売した場合
 債務者は、弁済による代位はすることができません。
 後順位の抵当権者は、物上代位することができません。

▷物上保証人所有の目的不動産のみを競売した場合
 物上保証人は、弁済額の全額について弁済による代位をすることができます。
 後順位抵当権者は、それを物上代位することができます(物上代位者は、物上保証人に優先します)。



<ケース2>
 後順位の抵当権の設定登記時に、先順位の共同抵当権の目的となっている不動産が異なる物上保証人所有であった場合の異時配当における代位

 物上保証人は、不動産の割付額についてのみ、弁済による代位をすることができます(異時配当における代位ではありません)。
 後順位抵当権者は、それを物上代位することができます(物上代位者は、物上保証人に優先します)。



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