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所有権更正登記と抵当権

 金融機関から融資(住宅ローン)を受けて新築建物を購入した場合、一般的に、①土地の所有権移転登記、②建物の所有権保存登記、③土地及び建物の抵当権設定登記をすることになります。

 ごく稀ではありますが、上記の登記が完了した後に、不動産会社や金融機関に対して、売買代金の一部が妻の自己資金から支払われていた事実が伝わっておらず、本来は共有名義であるべき土地及び建物が、誤って夫の単独名義で登記されてしまった、というご相談をいただくことがあります。

 こちらを例に、単独名義から共有名義に訂正するために必要な登記と、その際に必要となる書類についてご紹介いたします。



登場人物
 A:買主(夫)
 B:自己資金を出していた人(妻)
 C:売主(前所有者)
 D:金融機関



【登記の順序】
 
1.所有者Aの住所変更登記(土地及び建物)

 必要書類
 住所証明情報(A)
 代理権限証明情報(A)



2.所有権更正登記(土地)
 所有権移転登記の登記名義人を「A」から「A及びB」にする登記です。
 土地の売主であったCも登記義務者として申請人になります。
 この登記により、土地全体を担保する抵当権からAの持分のみを担保する抵当権に縮減されます。

 必要書類
 登記原因証明情報(A・C)
 登記識別情報(A・C)
 印鑑証明書(A・C)
 住所証明情報(B)
 承諾証明情報(Dの実印)
 代理権限証明情報(Aの実印・Bの認印・Cの実印)
 会社法人等番号(D)



3.所有権更正登記(建物)

 所有権保存登記の登記名義人を「A」から「A及びB」にする登記です。
 この登記により、建物全体を担保する抵当権からAの持分のみを担保する抵当権に縮減されます。 

 必要書類
 登記原因証明情報(A)
 登記識別情報(A)
 印鑑証明書(A)
 住所証明情報(B)
 承諾証明情報(Dの実印)
 代理権限証明情報(Aの実印・Bの認印)
 会社法人等番号(D)

 ※減税を受ける場合は、「住宅用家屋証明」についても訂正の必要がありますので、市役所に問い合わせをして必要書類を集めてください。



4.抵当権の債務者Aの住所変更登記(土地及び建物)

 必要書類
 登記原因証明情報
 登記識別情報(A)
 代理権限証明情報(Aの認印・Dの認印)
 会社法人等番号(D)



5.Bの持分への抵当権設定登記(土地及び建物)

 必要書類
 登記原因証明情報(B)
 登記識別情報(B)
 印鑑証明書(B)
 代理権限証明情報(Bの実印・Dの認印)
 会社法人等番号(D)


 上記の通り、AとBだけでは単独名義から共有名義に訂正することはできず、売主Cと金融機関Dの協力が必要となってきます。また、協力が得られない場合は上記の方法で訂正することはできません。疑問に思われることがありましたら、売買の決済日より前に、不動産会社、金融機関、司法書士等の関係者に確認するようにしてください。